【アイアンマン感想】トニー・スタークを誤解していた話

『金持ちで傲慢で子供な社長が、金の力で自らがヒーローになる』
断片的な情報で、トニー・スタークを完全に誤解していました。

アイアンマン面白かったんですよーーーー!
トニー・スタークの超チャーミングなキャラ造形!
前情報だけで何年も何年も敬遠せずに、もっと早く見ればよかった! 私のばかばか!

───という話をします。

先に弁解しておきますと、2019年5月現在、ヒーローたちについて完全に素人です。(デップー、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー1&2、スパイダーマンは視聴済み)
あの世界のお約束やシステムに対して全く詳しくありません。トンチンカンなこと言うかもしれませんが、これから履修するのでご容赦ください。

そもそもなんで敬遠してたのよ

そもそも、の話になるんですが。わたし、トニー・スターク演じるロバート・ダウニー・Jrを、映画シャーロック・ホームズとセットで覚えておりまして。あの作品は私向けじゃなかったのですよ。ホームズが好みじゃなくて…

なのでアイアンマンについても「ロバート・ダウニー・Jr…ホームズの彼かー」って今ひとつのテンションだったし、『傲慢で子供な金持ち社長が、金の力でスーツ作って自らヒーローになる』という今思うと非常に断片的な情報だけで「あのホームズみたいなキャラなのかな~~~なら好きにはなれないだろうな~~~」って安易に判断してたんですよ。
ほんとばか。
自分で見てみないとわからないってママいつも言ってるでしょ!

実際見てみたら

全然ちがった…!
いやーーそもそも彼天才型のエンジニアだ。確かにお金持ちで、肩書は社長だけど、エンジニア属性のほうがよっぽど強くないですか!? 熱中するものに対してひたむきに打ち込み、情熱を注ぐ。恵まれた環境でのびのび育てられた、天然モノの才能人
それと、別に子供でもないぞ…童心はあるけど幼稚な印象は受けなかった…

もっと冷たくて、利己的で人を信じなくて、自分さえよければいいってタイプの中年をイメージしてたもんだから、冒頭10分で「えっこんな話だったの!? その胸のピカーってやつ、そんな経緯でつけられたものなん!?」ってびっくりしました。
いやはや、そんなどうしようもない状況で装着されたものだったとは。

冒頭だけで分かる性根の健やかさ

  1. テロリストグループに拉致られる
  2. 最新型の兵器を作れと脅される
  3. 多分作り終わったら殺される
  4. 同じ虜囚であるインセンと共に、兵器を作るフリをしながらパワードスーツを作って、脱出を目指す

というのが冒頭の簡単な流れなんですけど。「なんだ…トニー…悪いやつじゃないじゃん…? ごうまん…?」ってなる。
だってね! だってさあ!

  • 決して秘密を漏らすまいとするインセンが今まさに拷問されようとする瞬間、思わず制止に入る
  • 相手を利用して一人で逃げるつもりは全く無い。当然のように、一緒に逃げるつもり。
  • インセンが重傷を負っても、まず助けようとする。
  • 死にゆく相手に対して「命の恩人だ」と言葉で伝えられる。

とっさのリアクションに性根の良さが出ている。反応が素直で、考え方がまとも。うんと頭はいいのに、判断には情がある。
冒頭で既に、私はトニーのことが大分好きになりました。インセンがまた、苦境にありながらも狡いところのない良い人であり、また決意の人でもあった、っていうのもとてもよい。悲しい。

その他トニーについていろいろ

数少ない信用できる相手からはちゃんと好意を得ているし、そこそこ信頼関係も構築できている。勝手言って振り回すけど、力で押さえつけている感じではなく、相手もトニーに向かって雑な口の聞き方をする。きっちり社会とコミットできてる。そもそもこの人、ステレオタイプの家族が欲しいとか、万人の承認を得たいとかいうタイプじゃなかろ…

「あっ、ひねくれてないな?」って思ったのは、秘書のペッパーの誕生日を忘れていたシーンですね。
『忘れていた』ことに気づいてぱっとバツの悪そうな顔するのがね。これ本人明らかに自覚あるよね、記念日覚えたり、マメなことするの、自分がめっちゃ苦手な自覚あるよね。
そんで多分、そのことなじられた経験が数えきれないほどあると見た。その上で、「また信頼のおける大事な相手のバースデーを忘れた!」って自覚すればあんな素直な反応がでるのね…開き直ることもせず…そんで「そうか…自分の名義で好きなものを買えばいい」なんて言う。
バースデーは特別な日で、なにかしてやろうって気持ちはある…でも絶望的に忘れる…いるいるそういう人…細やかな機微を察するとか期待しても無駄なやつだ…

なので、全て見越してちゃっかり勝手にドレス買ってるペッパー、めっちゃ好きです。変に夢は見ず、トニーを見て知って対応してる感あってとてもよい。

前提として

完全に、持てる人の物語だなあ、とも思うんです。
子供の頃から興味をもったことに全力で打ち込むことが許される環境、全面的にバックアップして伸ばしてくれる裕福な実家、教育、何不自由ない暮らし、地位も仕事もお金もあって、基本的にみんな好意的で、さらには容姿も色男で魅力的。
彼自身努力の人だけど、最初から努力が報われやすい、恵まれた土壌に生まれてこられたラッキーな人でもある。貧富の差の激しいアメリカの、ハイクラスに生まれた人の話ではある。清々しいぐらいに。

彼はゼロから這い上がって今の地位を掴み取ったわけではないので、野心やハングリー精神は薄めな印象をうけます。執着を見せない。あることがデフォルトだから。
最初から全て持っているからこそ、競争社会で相手を蹴落とそうとするギラギラした感じがない。怒鳴ったり、力で押さえつけようとしない。
遊びの相手へのあしらい方といい、どうでもいい相手から向けられる情に対するドライさ、裏切られた時の反応のさらっとした感じは、彼におもねる人がたくさん集まってくるから、そのうち自然と覚えたそれっぽいな~と思う。

こういう特性はある意味確かに、持てる者の傲慢と呼べるのかもしれない。

その上での、彼という個

恵まれた環境で育まれた彼の性格は、存外にまっとうだと感じました。
確かに奔放ではあるけど、情も良心もある。そして努力家でもある。

帰還してからの彼は、ずっと研究して開発して練習している。努力も研究も練習も、あたりまえのようにずっとやる。 自分が良いと思ったこと、やろうと思ったことへの、あのひたむきさ。エンジニアだから失敗はつきものとして、何度もトライ&エラーで繰り返している。

何も安全が保証されない状況で夜空に飛び出したシーンで、ああ確かにネジはぶっ飛んでるな…とは思ったけど、しかしあの状況で、あんなに楽しそうな顔ができる、あの性質。

万事において楽しそうなんですよね。そういう意味では確かに子供みたい。遊ぶ時も、きっと楽しそうなんだろうな。腹を立てつつも、許しちゃう人多そう。

反面、お人好しでもなんでもなく、しっかり他者の悪意を想定しているところもポイント高い。
テロリスト(武器所持で判別?)を瞬時にロックして正確に撃つあのシステム、すごいと思うんですよ… 「人質に銃口が向けられている場合は撃ってはいけない/自分に銃口が向けられてる場合は撃て」っていう原則を考えなくていい。悪意を知ってるからこそ、予め組み込んでおける機能。

マスコミ相手にも自由に振る舞うけど、ある程度許される塩梅をちゃんとわかってる範囲での奔放な感じ。そして別に牙をむかれても意に介さない。
既に持ってる人の余裕と塩梅の加減。抜群に頭がよさそう。

映画として

トニーの良さについて語りましたが、お話自体も爽快で面白かったです。周囲を固めるキャラも皆よかったし、ヒーローが既に大人なので、若さゆえの青さに悶えなくていいのもよかった。

さらに何がいいって、「一回調子に乗せといて、どん底に突き落とす」の手法が弱めだったこと。カタルシスを得るための手法だとしても、無責任なマスコミや社会にバッシングされて、好き放題言われて、社会生命が危うくなったり大事な人が去ったり、ギリギリまで精神が追い詰められるとさ、「なんで無関係な人たちが石投げるの?」とか思うからさ…

トニー・スタークは株価が下がってもびくともしないのがよかったですね。ヒロインも死ななかったし。

まとめ

全体を通して「トニー・スタークいいじゃん!なんだーー早く見ればよかったあ!」って感じでした。

周囲は「仕方ないなあ」って思いつつも強烈に惹かれてしまう魅力があるんだろうな、ってのがよくわかるキャラ造形。天然ものに嫉妬しつつも、真似してどうにかなるものでもなく、腹が立つけど憧れもする、一緒に遊べたら楽しいだろうなと思う…みたいな。反面、自分の腕一つでのし上がってきたタイプのキャラとは完全に対立しそう。

それでも彼本人には、おっさんなのになんとも言えない可愛げがあるというか…チャーミングというか…

──という話をしたら、友達がものすごく食いついた上で「なぜかあの世界の人たちは、トニー・スタークの良さを、かわいさを、理解しないのだ!」と非常に嘆いていたので、これはメモとして残しておかねばと思った次第です。

次はアイアンマン2だと言われたんですが…そうなの!? 
かわいさを理解されない世界なの!?
1の後味がよかっただけに、2とか3とか見るのが怖い…

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